シールが貼られることはない

思春期なのでそういうときもあります

じゃがいものめざめ

 

こんにちは。

じゃがいもに親近感を持つ改名です。

 

 

今日の夜ご飯はクリームシチューでした。

ほかほかの炊きたてご飯に、月のような輝きを放つクリームシチューをかけて頬張る。こういうのを幸せっていうんだろうな。胸をあたためてくれるクリームシチューに愛を込めて敬礼しながら、私はじゃがいもを食べようとスプーンを運びました。

 

しかし、じゃがいもが見当たらない。白くてほくほくのじゃがいも。

クリームシチューにじゃがいもがない?そんなことがあるはずがない。

 

しかし、探せど探せど出てくるのは鶏肉とにんじん、それからたまねぎばかり。

いい加減出てきてよ。涙目になりながらじゃがいもを探していた私だが、なるほどこれは、見つかるわけがなかった。

 

今晩のじゃがいもはいつもと違ったのだ。

いつもの白いほくほくボディは何故か黄色っぽくなり、サイズも一回り小さい。

 

これはどういうことだ。

クリームシチューを調理した母に、じゃがいもが姿を変えた理由を問い詰めると、こう言った。

 

「インカのめざめだよ」

 

インカ?めざめ?インカっていうのはあの帝国のことか?果たしてそれがじゃがいもとなんの関係があるというのか。

私の貧弱な脳みそではいくら考えてもわからなかったので、文明の利器に尋ねてみることにした。

Hey! Siri!

 

Siriはこう言った。(以下 コトバンクより引用)

 

ジャガイモの一品種。果肉は濃い黄色。粉質で風味はサツマイモに似る。北海道農業試験場による育成品種で、登録品種名は農林44号。

 

 

なるほど、じゃがいもは姿を変えたわけではなく、全くの別物だったわけだ。

 

黄色のじゃがいもなど邪道!白いホクホクを返せ!と心の中でデモを起こしつつ、小さく崩したインカのめざめとやらを口に入れてみた。

 

 

先程の発言を撤回させてもらおう。

インカのめざめはいつものじゃがいもより芋感が強くなめらかで、母がこれをクリームシチューに入れた理由もよくわかる。

何が邪道か。なにが白いホクホクか。黄色いホクホクもいいものじゃないか。

先程までの自分を心の中で煮込みながら、手に握られたスプーンに次々とじゃがいもをのせた。

 

それから数分間の記憶はない。

 

気がついたときには、机に置かれた空のお皿とインカのめざめについてより詳しく記されたWebページが目の前に広がっていた。

 

おしまい